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セミナー2010/02/19

登録者対象 翻訳キャリアアップセミナー「ビジネス翻訳のポイント」 レポート

セミナーの内容は「キャリアアップサポート」ページをご覧ください。

2010年2月6日(土) 翻訳者・通訳者としてご活躍の姉崎さんを講師としてお招きし、翻訳キャリアアップセミナー「ビジネス翻訳のポイント」を開催しました。今回はスピーカーによる一方通行なスピーチではなく、参加者全員が、互いの経験、情報、知識を共有し、翻訳者として抱えている問題や疑問などについて考え、解決へ導くという、参加者との対話を重視したインタラクティブな場を目指しました。さらに参加者間の交流を深めていただけるように、途中で短い休憩をはさむようにしました。また、モニター画面を使って翻訳支援ソフトの活用方法を行うなど、盛りだくさんの内容となりました。

姉崎さんスピーチ(一部抜粋)




翻訳者になった道のり

大学卒業後、入社した出版社で雑誌翻訳の世界と出会い、アメリカ駐在の4年半を含め、自身で翻訳するだけでなく、翻訳原稿の編集、校正の経験を積みました。その後、英語教材の出版社に転職。引き続き、雑誌の翻訳や翻訳チェック、用語解説の仕事にかかわりました。こうした10年近い出版翻訳に関する分野での経験をベースにフリーとなり、最初に得た仕事が、飲料会社での社内翻訳というポジションでした。

社内翻訳に求められるもの。よりよい訳出のために

社内翻訳者として就業する場合、特定の部署や個人についてある程度限られた内容の翻訳をする場合と、社内の翻訳を取りまとめる部署に所属する場合があると思います。飲料会社では、後者を経験し、プレゼン資料、契約書、仕様書、メール、記者発表資料など、様々な種類の文書翻訳の経験を積むことができました。
ビジネス翻訳の場合、品質が重要なのは当然として、読みやすさやスピードも重視されるため、柔軟な対応が必要となります。時間的制約(納期)・空間的な制約(プレゼンのスライドのように限られたスペースに訳を詰め込まなければならないなど)にどう対処すればいいのか、経験を通じて身につけていくことが必要です。情報の制約もあります。社内に常駐する場合でさえ、社内でしか通用しない用語や略語、背景情報がないと意味不明な文章に出会っても、問い合わせできない場合もあります。自分自身でこうした知識や情報の蓄積をすることが大切ですが、そのためにも、こうした情報を提供してもらえるように、依頼者側にその必要性を伝える努力が重要です。
在宅翻訳にも言えることですが、日英対訳の単語リストがあれば必ず用意してもらう、或いは、自分で作成したリストを確認してもらいフィードバックしてもらうなどしながら、発注者との間に出来るだけ良い関係を築くことが重要であり、それが翻訳された成果物のクオリティに反映されてくるのだと思います。

翻訳に生かせる通訳アプローチ

翻訳の場合は目の前に文字があり、文章があります。英和翻訳では基本的に後ろから前へさかのぼることを繰り返しながら、日本語を組み立てる作業です。一方、通訳というのは基本的に耳から入ってくる音がすべてなので、あまりさかのぼることをせず、入ってくる情報をどんどん処理していきます。翻訳で経験を積んだ人が通訳の勉強をはじめるとぶつかる壁がここです。耳で聞いた内容を、翻訳のように行きつ戻りつしながら訳そうとすると、訳し始めるのに時間がかかったり、訳がぎこちなくなったり、考えている間に忘れてしまったりするのです。
社内では、限られた時間の中で「明日の会議」「今日の午後使う」書類を訳すこともあるので、ビジネス翻訳をする人に求められるスキルのひとつが「スピード」です。その重要性は年々増してきていると感じています。ひとつの解決策は、通訳のアプローチ方法を、翻訳作業にいかすことです。決して雑にやるという意味ではなく、文章の中にある筆者が伝えたい「アイディア」を受け取って、それを日本語にしていく方が結果として自然な日本語になり、メッセージがよりよく伝わるという経験をこれまでしてきました。日本語を英語にする場合でも同じです。ただし、契約書など、この考え方を当てはめることが出来ない場合もありますから、翻訳する文書の種類に応じてアプローチを変えることもビジネス翻訳を考える上で大切なポイントのひとつです。

スキルアップのために

翻訳のスキルの向上は、私たち翻訳者にとって終わることのない永遠のテーマです。可能な限り、ネイティブチェック後の文章を見せてもらえるようお願いすると良いと思います。勉強法は人それぞれですが、たとえば日英対訳の本を、「自分だったらこう訳す」という視点で読むのもいいでしょう。また、ぜひお勧めしたいのは、紙のノートを一冊用意することです。語彙を増やしたり表現のブラッシュアップをしたりするために、気がついたことはどんどんメモしてまとめておき蓄積していきます。それをいつも持ち歩いて、何かあった時にはそれを見ましょう。データベース化したければ、スキャンしても良いし、表計算ソフトに入力して検索できるようにするのもいいでしょう。でも基本は紙だと思います。ノートが何冊も溜まっていくのを目にすることで自分がこれだけやったのだな、と実感できるしそれが自信につながっていきます。その積み重ねです。あとは、出来るだけ多くの仕事を、ひとつひとつ丁寧にしていくことですね。

最後に皆さんへ姉崎さんからのメッセージです。

翻訳は基本的に孤独な作業ですが、翻訳会社、派遣会社、直接の翻訳発注者との意思疎通も大切ですし、他の翻訳者との連携が必要な場合もあります。今回のセミナーのような機会をできるだけ逃さず、翻訳者同士の横のつながりを築いていくことが大切です。互いに切磋琢磨しながら、ときに励まし合いながら、翻訳者として一緒に成長していきましょう。


参加者の感想

社内翻訳者という立場で働いていると、同じ翻訳をしている人が社内にいなかったり、少なかったりするので、皆さんがどういった悩みをお持ちで、どういう風に勉強されているのかという情報を得にくいのでそういった点を聞くことができることを1番楽しみにしていました。スキルアップが難しいというお話がありましたが、どうしても自分のスキルに対する判断は主観的になってしまうので、そこを皆さんがどうやって対応されているのか聞くことが出来ました。
以前はサークルのようなところで翻訳者さん同士の交流を持つ機会がありましたが、今は全くそういったチャンスがなかったので、今日のワークショップのような参加者が知恵やノウハウを出し合いお互いを高めあう場があれば良いのにと思っていたところでした。今日は、まさしく期待していた通りの場だったのでとても嬉しかったです。聞くだけではなく、積極的に参加が出来たので、考えを口に出して行く中で改めて気が付くこともあり、早速明日から今日のお話をベースにし、新しい気持ちで仕事に取り組んでいこうと思います。

今回セミナーに参加させていただきとても有意義な時間を過ごすことができました。翻訳・通訳の違いから、社内・フリーランスとしてどのような道を歩み、またどのようなtoolを使用してお仕事をしているのかをこの業界の先輩である姉崎さんから伺い、勉強することができました。しかしそれだけではなく、何より少人数のグループで他の翻訳者の方々と交流ができたことがすばらしい経験でした。フリーランス・社内翻訳等、色々な形態でお仕事をしている方が参加していて、他の翻訳者の方と普段あまりお話しする機会がないのですが、このセミナーでは5分とはいえ交流時間を設けていただいたり、姉崎さんを交えたディスカッションの中で意見交換ができたり参考になるお話を沢山伺い刺激をいただきました。このような機会を設けていただいた姉崎さんとSBC社にとても感謝しています。翻訳者同士の交流会、ネットワーク作りの必要性をとても感じた2時間でした。ありがとうございました。

アンケート

  • 翻訳と通訳両方をされている経験の中からお話が聞くことが出来て勉強になりました。
  • 翻訳スキル向上の具体的な方法を教えていただけました。
  • 今後も、実務的な内容を話し合ったり情報を共有するスキル向上の為のワークショップなどの開催を期待しています。

セミナー事務局より

今後も皆さまに興味を持っていただけるようなテーマでの開催を目指しています。WEBへ告知を出しますので、お楽しみに!

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