倉地 礼子 さん
サイマル・インターナショナル専属会議通訳者
サイマル・アカデミー講師 サイマル・アカデミー卒業生
池内 尚郎 さん
サイマル・インターナショナル専属会議通訳者
サイマル・アカデミー講師 サイマル・アカデミー卒業生
大学卒業後に某政党に入党。外交安全保障を中心に政策作りなどに携わること約13年。私はそれからプロの通訳者を目指したという変り種です。多忙な仕事を続けながらサイマル・アカデミーの通訳者養成コースに通ったのであまり机に向かう時間は取れませんでしたが、 short but intensive(短くても集中する)、anytime anywhere(いつでもどこでも)をモットーに勉強を続けました。特に通勤時間に英語のテープを聞き、頭の中でリプロダクションする作業を続けたことは、その後、とても役立ちました。
アカデミー修了後、専属通訳としてのキャリアをスタートさせました。昨日、政治関係の通訳をしたと思ったら、今日はテーマパークの建設現場で作業員への通訳と、業務内容は本当にさまざま。当初はあまりの違いに戸惑うこともありましたね。でも、多彩な仕事をこなすことで引き出しが増え、自らの財産になるのです。最初は違和感を覚えたテーマパークの仕事でも、電気やコンピュータ関係の知識と用語を数多く身につけることができました。このとき Nothing is useless unless you think so.(役に立つと思えば無駄なことは一つもない)ということを会得し、俄然仕事が面白くなりました。
通訳者になってよかったと感じることは、普段は接点のない、いろいろなテーマを扱うので、知的好奇心を満足させてくれることですね。世の中のあらゆることが視野に入ってきますし、またそれらを把握し、消化しなくては仕事が務まりません。新しいこと、未知のことを知るのは楽しいし、常に勉強しますから自身の知的レベルを上げることもできます。
とはいえ、楽な稼業ではありませんし、満足いく結果が出せずに落ち込むこともあります。通訳者には resilient(弾力性のある)、つまり打たれ強さが必要でしょうね。例えて言うなら軟式テニスボールのような素質。手でボールを握ると歪むけれど、手を離すとすぐに元に戻る、そんな能力が大切なのです。苦い経験をしたら歪み、痛みで理解したらすぐに立ち直る。その積み重ねでスキルが磨かれていくのですから。そして分野の好き嫌いをせず、何でもこなしていくこと。それが継続的に通訳力を向上させる近道だと考えています。




サイマルの専属通訳者になって、忙しくも充実した楽しい毎日をおくっています。私が通訳という仕事に興味を持ったのは、大学時代。留学先のアメリカで通訳の授業を受けたことがきっかけでした。このとき、言語を用いてさまざまな分野に触れることの面白さに目覚めたのです。
帰国後、一般企業に就職しましたが、通訳者になる夢が忘れられず、サイマル・アカデミーに入学。2年後に修了し、念願の通訳者になることができました。
アカデミー在籍中も派遣で社内通訳の仕事をしていたのですが、一人前の通訳者として扱われるようになると、その厳しさは全く違ってきました。とにかく、ありとあらゆる分野に対応しなくてはならなくなったからです。
訳すテーマに関して十分な知識を持っていることが要求されますから、仕事が決まるとまずは資料集めからスタート。専門用語も多いので、単語のチェックも欠かせません。いろいろな世界がのぞけるので興味深く、やり甲斐もある反面、日々、勉強とリサーチに追われるのでとても大変です。業務内容によっても異なりますが、こうした事前の準備に週末の丸2日間かかることもしばしば。自宅にいる時間は準備作業に充てることが多いですね。
でも、これは私に限ったことではなく、ほかの通訳者でも同じです。新人の頃、ベテラン通訳者はすでに優れた能力を持っているから準備はあまり必要ないのだろうと思っていました。ところが、トップクラスの方々こそしっかりと資料を読み込み、スピーカーとも綿密に打ち合わせをしていることには驚きました。高い通訳力と豊富な経験に加え、常に努力する姿勢を忘れないことが不可欠なのだと実感しました。
一生懸命準備をして臨んだ現場で的確な通訳ができ、話し合いがうまくまとまったときは、何ともいえない達成感があります。何にでも好奇心を持ち、努力を惜しまないこと。精神力と体力があり、柔軟性に富んでいること。こうした要素を持ち、さらにそれを磨いてゆくことが、高いパフォーマンスにつながるのではないかと思います。